「経年変化」革好きの愛好家は皆好きな言葉だと思う。
ただここ近年この言葉ばかり一人歩きしている気がしてならない。
「袖」や「襟」がエイジングした姿は確かに見ていて美しい。
ただ、すべての革がそのようなエイジングするかといえば間違いである。
同じホースハイドの素材でも仕上げによって全く異なるエイジングをみせる。
荒々しいエイジングはやはりフルベジタブルタンニン鞣しの「エコホース」だろう。
対して「アニリンホース」はアニリン独特の透明感のある美しい発色のエイジングとなる。
それぞれの革の特徴を生かし「アニリンホース」はテーラードJKT、コサックJKTなど綺麗なシルエットが出やすいモデルに使用している。
逆に「エコホース」は男らしいカーコート、アビエーションコートなどと相性が良い。
それぞれのデザインと革素材が絶妙にマッチングする事によって初めて1つの最高のアイテムが生まれる。
また、写真で映えるような「エグい」エイジングはすぐには生まれない。
なぜなら襟、身頃など各パーツに「厚み」、「幅」などを変えた「芯材」を使用しているからだ。
芯材を使用することで「革が伸びにくく」、「型崩れ」しにくい仕上がりになる。
芯材の施し方も「ディアスキン」・「ホースハイド」など革の素材により特性が異なる為芯を張る厚み、幅、箇所を変えている。
すべては美しく着続けて頂きたいという想いからだ。
革ジャンは1年、1年、着れば着るほど持ち主の身体に馴染み、より愛着が増す。
これはどの素材もでも同じ事だ。決して焦ってはいけない。
私たちが大好きなヴィンテージの革ジャンも100年近くその長い歴史を歩んできた。
どの革が良いと言った優劣はない。それぞれの革の特徴や特性を知って頂いた上で選らんで頂きたい。
最低10年。じっくりと育てて欲しい。
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こちら2019年スタイルブックでもご紹介ましたが、かなりの反響を頂きその素材ごとより詳しく説明して欲しいとの要望も多く頂きました。
今回はその素材ごと詳しくご説明させて頂きます。
時間をかけフルベジタブルタンニン鞣しをした後に顔料など一切加えず仕上げた「エコホース」。
革の厚みは2mm前後ありタンニンをしっかりと吸収した革はかなりの「締まりがある」。
革の締まりがあるので最初はかなりの着にくさ、気合いが入りますが着れば着るほど革が揉みほぐされるように身体に馴染んでくる。
こちらも良い表情ですね。だいぶ身体に馴染んでいるのが分かりますね。
ただこちらの革ジャンにも注意が必要です。
革の厚みはありますが、裏地は当然生地です。
袖の滑りやすさを考慮し「ナイロン」を使用しております。
最近「革の儀式」と言い袖を無理矢理ぐいぐいと曲げ、無理矢理負荷をかける方もいらっしゃります。
革もそうですが、裏地に負荷がかかりほつれ、破れの原因になります。
長く着て頂けるように丁寧におつくりしております。
着ていただける際も丁寧にいや「普通」に着ていただければ幸いです。
次はどの素材をご紹介しようかな。
お楽しみに!!