2024.02.15
革について(染料と顔料)
本日はかねてよりお問い合わせの多い、革の染色についてご説明します。
革の染め方には大きく分けて、二つの方法があります。
それが、「染料染め」と「顔料染め」です。
着色方法はもちろんですが、それぞれ違った表情に仕上がります。
まずは「染料染め」についてご説明します。
染料とは水や溶剤に溶け易い性質を持った色材にあたります。
この色材を水や溶剤に溶かして革に浸透させることで、表面だけでなく繊維層にまで色が染み込みます。
水で薄めた水性絵具を紙につけた時に、紙に色が染み込んでいく様子を想像してみてください。
革も同じで、水や溶剤に溶かした染料が浸透するので、表面の傷などはそのままに革本来の表情を残したまま色が入ります。
染料染めのメリットは革本来の表情や、質感を残した透明感のある仕上がりです。
革本来の質感や透明感のある発色を楽しみたい方におすすめです。
次に「顔料染め」についてご説明します。
顔料は水に溶けにくい性質をもった色材です。
また、染料に比べて色の粒子が大きく、革の繊維にまで浸透しないので、表面を覆うように色を染めます。
こちらは油絵具を紙につけた時の様子を想像すると分かりやすいですね。
革本来の表情は失われますが、均一に色を塗ることができ、傷が目立ちにくく、色ムラの少ない仕上がりになります。
顔料染めのメリットは傷が目立ちにくく、色ムラの少ない均一な仕上がりになることです。
色ムラのない仕上がりが好きな方や革の傷が気になる方におすすめです。
そして、ご存知の方も多いと思いますが、弊社では「染料染め」の革を主に使用しています。
弊社の商品について「何故こんなに色ムラがあるのか?」、「革の厚みが均一じゃないので、皺の入り方が部位で異なる」などのお問い合わせが来ることが、ごく稀にあります。
これは革本来の表情を楽しんでいただきたいため、染料染めの革を使用しているのと、革本来の厚みを楽しんでいただきたいため、敢えて漉き割りをせず、そのままの厚みにしているという、私たちの拘りです。
「同じ馬でも首から背どおりにかけては地の黒さがあり、色が濃くなりやすい。」
「それぞれの馬によって持っている傷や厚みが異なる。」
「下地を茶色で染め、表面を黒で染めても染料の場合、下地の茶色が透けて見え、茶色く見える。」
「同じ仕上げ、同じロット、さらにその中の革一枚一枚でも色艶が異なる。」
これらをデメリットと取るか、革本来の良さと取るかはそれぞれの考え方によります。
とはいえ、弊社でも顔料染めの革や、漉き割りをして厚みを薄くしている商品もございます。
染料染めが正しいというわけではありませんので、ご自身のお好みにあった商品をお探しください。
ただ、私たちがお届けする商品は、革の傷も、染料による色ムラも、全く同じ革などないのだから、その時に出会って気に入った一着を大事に着ていただきたいという思いでお作りしています。
そのため、弊社では創業当時より通販は行なっておりません。
実際にその目で見て、触れてみて、これだという一着を見つけてください。