2022.11.14
墨黒ホース
今期の新素材の墨黒ホースハイド。
Y’2 LEATHERが代表するマテリアルの柿渋ホース、インディゴホースに並ぶ程のお問い合わせ、ご注文も頂いております。
墨黒について、ここでご紹介させていただきます。
柿渋ホース、インディゴホースと日本古来の素晴らしい素材をレザーの中でも扱いが難しいホースハイドで表現する事に成功いたしました。
それぞれ、エイジングも楽しんで頂いており国内外より評価を頂いております。
余談ですが先日、アメリカのGQマガジンよりインディゴホースライダース掲載のご連絡をいただきました。
そんな中、柿渋ホース、インディゴホースもいいけど、日本らしい「漆黒」を表現したいと思い数年前よりタンナーと革を墨で染める研究を始めました。
まずは墨の選定から始め、古来より墨に縁深い奈良県・三重県の素材に絞りそれぞれの特徴、長所、短所を調べました。
その中で1400年に渡って受け継がれた奈良墨を採用することとなりました。
奈良墨は伝統工芸品にも指定されており菜種や胡麻、桐の油を燃やしてつくる油煙墨(ゆえんぼく)に該当します。
奈良墨の制作工程には墨職人の繊細な技術が必要なため機械化できる作業が少なく、今なお手作業で行われております。
そんな素晴らしい墨に出会え、いよいよ染色です。
染色を始める前にまずフルベジタブルタンニン鞣しを施します。
そして、タンニン特有のサドルで染めますが、今回は通常のサドルより少し濃い目の色で染めます。
芯をサドルの濃い色で染めた後に銀面、スエード面を墨で染色するのですが、これがとても難しく作業です。
2枚目の写真から芯のみが染まっているのがご覧いただけます。
染料が多すぎると中の芯まで黒色におかされます。
その加減が非常に難しいんです。
革馴染みに関してですが、墨の粒子は通常の染料よりも粗く、さらに馬革の銀面は牛革に比べ粗大なので馴染ませるのに細心の注意が必要でした。
しかし、元々の肌が柔らかいので丁寧に馴染ませるとその分、墨が綺麗に銀面の層に入りこみます。
そのような工程を経て仕上がった墨黒ホース。
着用し革が剥げてもヌメなのでオイルを入れたり、焼けると色が濃くなります。
ここで説明を終えたいところですが、最後にさらにひと手間加わっています。
仕上がった革に風合いを出すため「ミーリング加工」を施しております。
簡単に説明すると革をもみほぐすようなイメージです。
最初から革馴染みもよく、銀面に動きが出やすいです。
まずは第一段のカーコート。
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