2025.05.12
ユニオンショールーム & 欧州ツアー(前編)
昨年末のNEWSでお伝えした通り、ワイツーレザーは去る1月19日から3日間、ドイツはベルリンで開催される合同展示会“UNION SHOWROOM(ユニオンショールーム)”に出展しました。この記事では同展示会を中心に、ワイツーレザーのヨーロッパツアーの様子を前編・後編に分けてレポートしていきますので、お付き合いよろしくお願いします。
いざベルリン、いざユニオンショールームへ。
そもそも“UNION SHOWROOM(=以下ユニオン) ”とは何かというと、ファッションを始めインテリアや雑貨、アートなど、さまざまなブランドが3日の開催期間中、一堂に会する合同展示会です。参加ブランドは厳格な審査をパスした約130社で、同じく登録と審査を受けたバイヤーのみの完全招待制。いくら著名なバイヤーであっても飛び込みでは入場できません。そこまでレギュレーションに厳しいがために、ハイセンス・ハイクオリティなブランドが揃い、またそのブランドを各都市のローカルでしっかり育ててくれる腕利きのバイヤーたちが集い、じっくりと質の高い商談ができると評判の展示会なのです。
そんな意識の高い展示会にエントリーを申し込むと、主催者側もワイツーレザーの存在はご存じの様子で、さらに事前のウェブミーティングでブランドの詳細を説明すると、モノづくりに対するワイツーの真っすぐな姿勢に感銘を受けてくれ、晴れて出展が決定した次第です。そこまで期待値が高まったからには、僕らも気合を入れねばなりません。出展決定は去年の夏でしたが、それまでのんびり構えて行き当たりばったりで出展して貴重な商機を無駄にするわけにはいきませんからね。
ヨーロッパ中に無数に存在するお店から、いかにワイツーレザーと親和性の高いショップと巡り合うか。これまではどちらかといえば受け身でしたが、今回は綿密なリサーチを繰り返したうえでDMを送り、英語のカタログも用意しました。また製品サンプルは郵送では展示会に間に合わない可能性もあることから、トータルで80種類以上あるラインナップからどのアイテムをピックアップして持参するかを精査。大柄な人も試着できるようビッグサイズも用意し、各種レザースワッチも揃えたりと、あらゆるシーンを想定して準備を重ねてきたわけです。
果たしてサンプル総数24着を詰め込んだトランク(一人2ケース)を引っ張り、空港へと向かったのですが、大阪からベルリンまでの経由地となるパリ行の便が遅延。そのあおりを受けてパリからベルリンまでの便も欠便となって足止めを食らうなど、バタバタのスタートとなりましたが、展示会搬入日の朝にはなんとか現地入りし、翌日からのショーの準備を整えることができました。
ワイツークオリティーに没入する、バイヤーたちの圧倒的な熱量
1月19日の正午からいよいよ始まったユニオン。ベルリンの街中に建つレンガづくりの古いビルがその会場で、1~3階プラス地下1階に世界各国のブランドがブースを構えます。ワイツーレザーは主催者チームの粋な計らいによってエントランスから入ってすぐ、吹き抜けの1階中央、という一番目立つエリアにブースを設けてもらえました。
中央にはピアノが置かれているのですが、彼らが「雰囲気が良かったから」とワイツーのバナーをこのピアノの上に飾ってくれたり、また嬉しいことにブース横のソファーに座りながらマイク片手にインタビューを受けるという機会をもらったことで、より会場内でワイツーレザーへの注目度が高まりました。
それらの相乗効果もあって、商談を希望してくれるバイヤーたちが吹き抜けの上階から常にブースの空き状況をチェックしていて、一つの商談が終わるごとに次々と訪問を受けることに。それが3日間絶え間なく続き、昼食を摂ることも忘れて濃厚な時間を過ごすことができました。
気になるバイヤーの反応ですが、すでにドイツ国内ではデュッセルドルフ、ベルリン、北米にはアメリカやカナダに取扱店があります。ですが商品に初めて触れる新規のバイヤーも多く、サラッとではなくワイツーをしっかり見たい、知りたいという熱量を感じました。また種類の豊富なデザインやインディゴ、柿渋の革を直接見てみたかったという声も多かったですね。そして目に見えない部分の縫製やパターンへのこだわりにも感銘を受けてくれ、試着すると「ビューティフル! 」とシルエットの良さも絶賛してくれました。
おもしろいことに、日本ではエコホースに人気が集中していますが欧米ではむしろ、シープやスウェードなどの着やすいものが好まれる傾向がありますね。そんな中でも他に類を見ないユニークな柿渋ホースやインディゴホースは、着やすいうえにエイジングも楽しめると評判でした。カタチではGジャンが特に人気があり「これを見たかったんだ」と、モデル名を名指しするバイヤーもいるくらいでしたね。皆さん、僕らが想っている以上にワイツーの製品を熟知しているようで驚かされました。
どうして彼らがそんなにワイツーレザーに詳しいのかを聞いてみると、欧米のバイヤーたちはお互いに仲が良く、特に早い時期から取り扱いを始めてくれたカナダのT.J.(SHOP VANCOUVER)や、一代で全米に3店舗を築いた敏腕バイヤーのNeil (STANDARD & STRANGE)の影響が大きく、時には彼らが別のショップバイヤーを連れて「君のショップでも絶対にワイツーを取り扱うべきだよ」なんて薦めてくれることもありました。また皆さんSNSやHPをチェックしてくれていて、バイヤー同士で盛んに情報交換しているとのこと。知らないところで良い評判が世界を駆け巡っているんですね。その結果、北欧初のスウェーデンやデンマーク、フィンランドが加わり、その他にもスペイン、スイス、アメリカなど新規のお店だけで11店舗増えました。
今回の展示会では自分たちが取り引きしたいショップにアプローチを掛け、直接想いを伝えることがいかに大事かを実感しました。それによって彼らも喜んでくれて期待値が高まるのもダイレクトに感じることができましたね。帰国した今、ドイツでの経験を社内スタッフとも共有し、彼らの期待に応えられるモノづくりをしようと、身を引き締めて裁断・縫製・検品に励んでいます。
さて、次回の後編ではベルリンを離れてデュッセルドルフとパリへ向かいます。長文のレポートにお付き合いいただき、ありがとうございました!