2025.11.08

ワイツーレザーの定番デザインを深掘りする三部作。 その1 『Gジャン“140シリーズ”』編

140、42、76……。これらの数字が何か解りますか? もしも数字だけでピンッときた方は、相当なワイツーマニアですね。実はこの3つの数字、アルファベットと組み合わせて各プロダクトを管理する品番の一部で、数字の部分が型紙番号を意味しているのです。そして上記の型紙番号はワイツーレザーの中でも「定番」の背番号。長年にわたって愛され続けているロングセラーモデルの証でもあるのです。当ブログでは3回に分けて、3つの定番デザインを深掘りしていきたいと思います。ではさっそく始めましょう。第1回目は「140」、Gジャンタイプにフォーカスします。


Gジャンタイプのレザージャケット


高品質な革と、縫製の妙技を羽織る


カーコートやライダースJKTと並んでワイツーレザーの定番デザインに名を連ねるのが、品番に「140」の数字が振り当てられた“Gジャン”タイプです。ワイツーレザーでは歴史に名を残すデニムJKT=Gジャンのデザインをレザーに落とし込んだプロダクトをラインナップしていますが、その中でも1stモデル(140)、大戦モデル(140-T)、2ndモデル(141)は毎シーズン完売するほど、爆発的な人気を博しています。前身頃は各モデルを象徴するフロントプリーツをデニムと同様に重ね縫って再現しています。もちろんコットンではなく肉厚のレザーが相手ですから、非常に労力と技術力を要するディテールです。その動きのあるフロントビューに対して、バックビューは傷が少なくキメの細かい大判の革を配置しており、シンプルさが際立っているのが特徴です。あえてバックルバックなどのヴィンテージディテールを排したのは、革そのものの良さを見せたいという一言に尽きますね。


柿渋ホースのGジャンタイプレザージャケットのディティール


各レザーのキャラクターが見せる十人十色の顔


そんな緩急あるデザインのGジャンタイプはパターンこそ1st、大戦、2ndで共通ですが、各モデルを特徴づけるポケット周りのディテールやボタンの違い――1stと大戦モデルは月桂樹ボタンで、2ndは今季からオリジナル刻印入りボタン――やカラーバリエーションはもとより、柿渋やインディゴ、エコホース、アニリンホース、ホースラフアウト、ステアラフアウト、さらには今季からシープスキン、と革のバリエーションも幅広く展開しているのが特徴で、それぞれに違ったエイジングを愉しむことができるのも魅力です。


インディゴホースのGジャンタイプレザージャケット


エコホースのGジャンタイプレザージャケット


柿渋ホースのGジャンタイプレザージャケット


たとえば色焼けによるエイジングを愉しみたいなら柿渋ホース、デニムの色落ちのような経年変化を堪能するならインディゴホース、がっつり着込んで自分の分身のように形状記憶させたいならエコホース、上品な雰囲気でGジャンを纏いたいならアニリンホース、モチッとした質感と着やすさで選ぶならシープスキン、シャツのように軽くしなやかな着心地を求めるならホース&ステアラフアウト……、というように同じGジャンタイプでもまったく違った「顔」を見せ、異なる着心地を体験させてくれるのが2着目、3着目が欲しくなる所以と言えるでしょう。


ライニングの素材選びにも一家言あり


レザー以外にも注目していただきたいポイントが“ライニング”です。Gジャンタイプには、ウール混紡やブラッシュド(起毛)コットンのように保温力の高いものではなく、ホースハイドで仕立てたモデルにはオリジナルメイドのリネン×コットン、ラフアウトやシープのモデルにはキュプラが採用されています。前者は冬だけでなく春や秋にもTシャツ一枚で快適に羽織れるよう、通気性の高さを鑑みたもの。これなら寒くなってきた時にサーマルTシャツ、さらに寒くなれば薄手のスウェットシャツを……と徐々にレイヤリングできるため、じっくりと革を自分のカラダに馴染ませていくことができます。一方のラフアウトやシープは、シャツのように柔らかな革の風合いを味わってほしいので、滑りの良いキュプラを選んだというわけなんです。


エコホースのGジャンタイプレザージャケットのディティール


インディゴホースのGジャンタイプレザージャケットのディティール


いかがでしたでしょうか? 普段はあまり語られることのないプロダクトの深部に触れていただくことで、新しくJKTを購入される方には背景を理解したうえでモノ選びができ、すでに定番モデルをお持ちの方は、ご自身の革ジャンの出自をより深く知ることで愛着が増すのではないでしょうか。


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