2025.10.14
私がライダースジャケットを愛すべき理由。 By 谷本悠馬
どことなく日差しも風も秋を予感させるものとなり、徐々に気分も革ジャンにシフトし始めている方も多いはず。ひょっとすると地域によっては、もう着始めている方もいるのではないでしょうか? さて、今回のBLOGは梁本に代わりまして、スタッフの谷本がペンを執ることになりましたので、よろしくお願いします。
異業種からレザービジネスへ。そのキッカケはライダースJKTだった。
いや、そもそも誰?という方が多いかと思いますので、自己紹介を兼ねての投稿となります。どうぞよろしくお願いいたします。私、谷本はワイツーレザーの社内で生産管理や公式ホームページの運営・管理をしており、他にも各地の内見会やカンパニーストアでの販売も担当しておりますので、すでにお会いしたことのある方もいらっしゃるかもしれません。
前職はシステムエンジニアで、まったく畑の異なる業界からの転職ではあるのですが、革や副資材の発注や、検品・出荷という未知の業務を覚えつつ、前職で培ってきた技術を使ってこれまで手書きやファックスなどを駆使してきた業務のデジタル化や、今この瞬間に皆さんがご覧いただいているホームページ、予約システムの開発・運用も担当しております。アメカジ業界で働いたこともなかった私がワイツーレザーで働くことになったのは、1着のライダースJKTとの出会いがキッカケでした。
ロックンロールを体現する、ダブルブレステッドの不良感。
話はさかのぼること3年ほど前のこと。当時の私はIT業界の中で転職を考えていた時期でした。一方、プライベートではバンド活動にも熱を入れておりまして。バンドを始めた当初は60’sのサイケデリックミュージックを啓蒙していたのですが、突き詰めていくうちに音楽の方向性が50’sロックンロールに傾倒していって。そうなると着る服もヘリテージ系のアメカジが中心になっていったわけです。
50’sカルチャーの中でも絶対的に欠かせないワードローブと言えば、ダブルブレステッドのライダースJKTですよね。エルヴィス・プレスリーから続く、ロックンロールのアイコンであり、また映画などでも50’sの不良感を体現する存在。私が好きなのは映画『クライベイビー』でジョニー・デップが魅せたライダースの着こなしや、全体に流れるフィフ1ティーズの空気感ですね。ところが当時の私は、レギュラー古着のスタンドカラーのシングルライダースJKTを1着持っているくらいでしたから、いつかは“これぞライダースJKT”と想える1着が欲しいという想いがありました。そんな想いの高ぶりと人生の分岐点でもある転職、というタイミングが重なって、いよいよ本気でライダースJKTを探すことに。
ただ、私にはヴィンテージやマニアックな革ジャンの知識はなく、革ジャンに強いブランドのこともよく知らない、つまり右も左もわからない状態だったので、そこからいろいろ調べました。勿論、いくら評判が良くても自分がこの目で見て、実際にモノに触れたうえで買いたい、という想いが強かったので、脚を運ぶことのできる距離のショップを探しました。ワイツーレザーの存在を知ったのもその過程でした。その商品群の中から私が目を奪われたのが『Y2-02』。'30年代のライダースJKT黎明期のDポケットスタイルをエコホースで再構築したモデルです(ヴィンテージのライダースJKTの中でもマニアックなモデルだと知ったのは、その後のことです)。さっそく電話でカンパニーストアの来店予約(当時はHPの予約システムがなかったので)を取ったのが、ワイツーレザーと私のファーストコンタクトとなりました。
一目惚れのライダースが運んできたワイツーとの縁
ショップでは梁本の接客で、いろんなライダースJKTや未発表モデルのサンプルを紹介してもらいましたが、一目惚れのY2-02と対面した時、“ザ・レザー”といった風格のエコホースの風合いにヤラれて、絶対にコレだ! と決定しましたね。残念ながら自分に合うサイズの在庫が当日になかったので、次シーズンの生産分をさっそく予約して、指折り数えてその日を待つことになるはずだったのですが……。丁寧な接客、レザー製品のみが置かれた洗練された店内の雰囲気を後に満足感に浸りながらの帰り道、何気なくワイツーレザーのインスタグラムを覗いてみると、なんとスタッフ募集の告知があるではないですか! 生産管理という、システムエンジニアとはまったく職種が違うことは充分承知の上でしたが「これも何かの縁」と思い切って応募したところ採用された、というわけなんです。
さて件のライダースJKTは、手に入れるよりも早く私がワイツースタッフとなったので、目の前でこれから自分の1着へとなる革が裁断され、縫い上げられていく過程を見ながら完成を待つのは、なかなかにワクワクしましたね。そして皆さんと同じようにガッチガチのエコホースとの格闘=着用を2年ほど繰り返していると、ある日唐突にクタッと柔らかくなって以来、完全にパーソナルな存在になりました。改めてDポケットやベルトで絞るスタイルに、アメジャンの王道を感じさせるデザインと、エイジングしていくエコホースの質感に惚れ惚れしています。これからいろんな革ジャンに挑戦していきたいと思いますが、やはりダブルライダースJKTが持っている、ギア服ならではの洗練さと背景にあるカルチャーの不良っぽさにはずっと惹かれていくんだろうと思います。