[鞣し]皮から革へ

原皮は国内産の地生(じなま)を除き、通常腐敗を防ぐ為、塩漬けをする。牛革は米国を中心に、馬革は北欧、オセアニアなどから輸入される。血液を洗い、体温を下げ、その後に馬革の場合は16~17kgの塩を刷り込むのだが、このタイミングがとても重要とされている。其のタイミングを間違えるとダニ、汚れ、カビにつながる。そのような工程を終え、日本に輸入される。

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水漬けは、皮に付着している血液や汚物などを取り除き、脱水された水分を補い、生皮の状態に戻し、後の薬品処理をスムーズに行うのに重要な工程。脱水、石灰漬けは、石灰乳を膨潤させ、皮のコラーゲン繊維をほぐすと共に、毛・脂肪・表皮層を分解除去する。

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脱毛、石灰漬けを終えた皮を背割りという工程で背骨に沿って左右半分に分割する。その後、裏打ち機(フレッシングマシン)を用いて、皮の内面(裏面)に付着している肉片や脂肪を取り除く。石灰漬けの後に行う場合もあり、この工程で皮の厚みを調整する場合もある。

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最初に裏打ちで残った肉片・脂肪を再度取り除き、その後、分割機(バンドナイフマシン)を用いて、皮を所定の厚さに銀面(表面)と肉面(床皮)の二層に分割する。(鞣し後に分割する場合もある。)

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脱毛・切開漬けの段階で除去し切れなかった毛根などを取り除き、銀面をきれいにする。垢出機(スカッティングマシン)などを用いて圧出除去する。

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石灰乳に再浸漬し、アルカリにより皮のコラーゲン繊維のからみをほぐす。脱毛・石灰漬け・再石灰漬けで皮中に残存した石灰を取り除く。これにより、より石灰漬裸皮を中和し、鞣し作業における鞣し剤の浸透を容易にする。酵解(ベーチング)によりタンパク質分解酵素により不要なタンパク質を分解除去し、銀面をなめらかにする。次に浸酸だ。鞣し処理に使う薬品は酸性でないと溶けないので、鞣工程に先立って皮を酸性溶液中に浸漬して、鞣剤の吸収に適する状態にする。

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クロム鞣剤(三価)を皮に浸透させ、コラーゲン繊維と結合させ、耐熱性などの耐久性を与える。これにより写真のようなウェットブルーが完成する。その後、革中の余分な水分を水絞り機械により絞り出す。シェービングマシンで革の内面を削り、一定の厚さに調整する。

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革中の酸をアルカリにより中和し、染色や加脂剤の浸透が均一になるように調整する。その後、染料を用いて希望の色に染める。染料の基本要件は色、溶解性及び皮革への染着性であり、これらの要件を備えた染料を使用して素材を着色するのが染色である。

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革中の染料や加脂剤を固着させる為に乾燥させる。自然乾燥あるいは熱風乾燥、真空乾燥をする。革の感触にとって直接的に影響する重要な工程。

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革に適当な水分を与え、もみほぐし易くする。その後、ステーキングマシンにより革をもみほぐし、柔軟性や弾力性を与える。そして、張板に釘張りするか、網板上にトグル張りし、平らな状態で乾燥させ、味(水分)を除去する。

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外観の美しさを色と艶で強調すると共に、革の耐久性を得るように銀面を塗装する。

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機械またはアイロンにより表面を艶出しする。必要により、型押しやモミ作業を行う。