2024.04.15
革について(厚みやキズ)
本日は、先日掲載した「革について(染料と顔料)」の第二弾にあたる、革についての「厚み」や「キズ」についてのご説明をします。
(「革について(染料と顔料)」の記事はコチラ → https://y-2leather.com/ja/news/145)
皆様革というとどのようなイメージをされますか?
私はこの仕事に就く以前は、革というとジャケットやカバンなどの完成品の姿をイメージしていました。
製品だから同じ型番であれば個体差もなければ、キズもさほどないものだと思っていました。
しかし、実際に納品されてくる革を見て、そのイメージは一転します。
まず、同じ仕上げをした革でも一枚一枚で大きさが異なります。
人間でも身長が160cmの方もいれば、180cmの方もいます。同じように馬や牛でも小さい個体と大きい個体で革の大きさが異なるのです。
当然のことですが、実際に目にするまではそんなことは考えもしませんでした。
厚みやキズも同じように人間に置き換えて考えてみてください。
みなさんも肩と腹など、部分によって皮の厚みは異なりますよね。怪我をしてついたキズも人それぞれ、箇所も深さも違いますよね。
馬も牛も鹿も羊も山羊もすべて同じです。
革製品として使用される動物の多くは皮を取るために殺すことは禁止されており、レザージャケット、革小物で使用される革の多くは食肉加工過程の副産物です。
革用で飼育されている訳ではないので、キズも厚みも大きさも当然個体差があります。
私たちが作るレザージャケットは、そういった革それぞれの違いであったり、同じ革でも箇所によって異なる厚みがあったりと、革本来の状態を楽しんでいただきたいという想いがあります。
もちろん、できるだけキズは入らないように、極端な厚みの違いは出ないようにと工夫をしながら製造してはいますが、全く同じ革は一枚としてないのです。
袖の左右、身頃の上下で厚みが異なることもあります。
薄い箇所に合わせて漉き割り(革を薄くする作業)をすれば厚みは均一になりますが、革本来の厚みは損なわれます。
キズや血筋が入っていることもあります。
顔料染めを厚くすればキズを目立たなくすることができますが、革本来の表情は損なわれます。
そういったことを敢えてしていないのは、私たちの拘りです。
キズがあることもあります。厚みが異なることもあります。
ですが、それらはその革本来の姿であり、その一着にしかない個性だと思います。
あなたが手にしたその一着は、世界中のどこを探しても見つからない、たったひとつしかない個性を持った革でつくられた唯一無二の一着です。
そう思えば、その革の持つキズや厚みも愛らしく思えてくるのではないでしょうか。
「その時の1着1着がまたとない出会いです。」