2025.11.15
【Y’2 LEATHER|エイジング(経年変化)と革素材について前編】
【Y’2 LEATHER|エイジング(経年変化)と革素材について】
革ジャンは、手にした瞬間も十分に格好良いものですが、
本当の魅力が宿るのは “着込んでから” だと私たちは考えています。
硬い革であればあるほど、最初は襟が跳ね上がり、袖はカチカチ。
ボタンを閉めようとして指先が痛くなる——
そんな “じゃじゃ馬” のような一着も少なくありません。
しかし、着るたびに革はあなたの身体に寄り添い、立体的なシワや艶が刻まれ、
世界に一つだけの相棒へと育っていきます。
Y’2 LEATHER の硬い革(エコホースなど)は、縫製工程で負荷がかかる部分を丁寧に薄く漉き、強度を保つため芯材を貼り合わせています。
こうした細かな手仕事の積み重ねが、5年、10年と着込むほどに、工程を省いた場合と明らかに異なる深みと表情 を生み出します。
直営店でも「どんなエイジングになりますか?」という質問を多くいただきます。
着る方の生活や癖によって変化はさまざまですが、
参考として、実際に着込まれたアイテムと新品の画像をご紹介いたします。
(※ 掲載アイテムは『HailMary Magazine』にて特集いただいたモデルを中心に構成しております。)
① インディゴホース[IB-141]
商品提供:リアルディール/着用約2年
インディゴホースは、中白をイメージした下地の染色を施し、
その上からインディゴ染料を丁寧に入れ込んだ、非常に高度な素材です。
インディゴは革との相性が難しく、色ぶれ・色移り・定着性など多くの課題があり、
素材開発から商品化までに 3年以上 を要しました。
リアルディール店長は、仙台の気候、バイカーという事もあり真夏以外ほぼ一年中着ていたそうです。
ほぼメンテナンスなしでも、インディゴ特有の深いエイジングがしっかりと現れています。
② 柿渋ホース[KB-140-T]
商品提供:CELLULOID/着用約2年
柿渋染めは、革への染色が極めて難しい天然染料。
その柿渋を、Y’2 LEATHER のメイン素材であるホースハイドに落とし込んだ、特別な素材です。
顔料を使わず、柿渋だけで仕上げることで、革本来のキズやスレがそのまま表面に現れます。
これは天然染料の証であり、質感を損なわないためのこだわりです。
紫外線に弱いため、保管はガーメントバッグを推奨しています。
仕上げには刷毛による「二度染め」を行い、濃度の深い色味と独特の風合いが生まれます。
革の選別は非常に難しく、時期によっては100枚中1枚も使えないこともあります。
そのため、柿渋ホースは 年間3型のみの生産 と限られています。
③ ステアオイル[SS-13]
商品提供:LUA/着用約2年
ステアオイルは、ドラムダイトで時間をかけ、水と染料のみで仕上げた素上げに近い革です。
顔料で隠さないため、革の風合いがダイレクトに伝わります。
驚くほど柔らかく、オイルのしっとりとした肌触りが特徴。
ハードなホースハイドが苦手な方や、「軽く、気軽に、毎日着たい」という方にも適しています。
水染め特有のキズやスレ、キャメルなど淡色での色ムラもありますが、
それも“一点物の味”として楽しんでいただければ幸いです。
革は、着る人の暮らしや時間の流れと同じように、ゆっくりと変化します。
特別なお手入れをしなくても、
「愛情を持って着続けること」 が最高のエイジングを生み出します。
世界に一着だけ、自分の時間を刻む革ジャンを育てる喜びを、
ぜひ味わっていただければと思います。
正解はありません。
難しく考える必要もありません。
ただ、楽しみながら、愛情を込めて着続けていただければ、
その革は必ず応えてくれます。
きっとあなたにとって “最高の相棒” になるはずです。









