2023.05.02
BULL HIDEからの挑戦状②
先日ブログを書き終えすぐに、ブルハイドの仕上がりを確認する為、姫路のタンナーに行ってきました。
ドキドキして姫路に着きましたが、仕上がりはばっちり。
厚み、色、艶、オイル感などすべてイメージ通り、順調に進行してます。
更新をすこしサボろうかと思ってましたが、前回のブログのをのあと、国内外より多くの②への「熱い」ご要望を頂きました。
という事で「BULL HIDEからの挑戦状②」ご紹介いたします。
まず一枚目の画像を確認ください。
何と8.8㎜厚です。
一番厚い箇所ではありますが、私も初めて見た厚みです。
これをこのまま進めたいところですが、さすがに無理なので一度3㎜に均等に割り作業を行います。
できるだけ革の厚みを出すため、粗漉きなど行わず作業しました。
その為厚みが8.8mm、7㎜など個体差が生まれるのです。
革の厚みがかなりあるので漉き割を行うのもなかなか大変ですね。
丁寧に3㎜に漉き割を行った後、ようやく裁断工程です。
一パーツごとに包丁で裁断を行うのですが、やはり手ごわい。
エコホースで慣れていても手断ちではなかなかです。
無事裁断が終わり、次は漉き作業です。
補足ですが、ブルハイド3mm、エコホース1.3mmもそうですが、一度革を希望の厚みに薄くしますが
裁断の後に再度縫い代などを漉き作業します。
薄くしたくない箇所はそのままですが、角、カーブなど形を綺麗に出したい場合その箇所のみ薄くします。
漉いて薄くする箇所が多いと縫製の作業は楽になりますが、完成した商品が薄っぺらく仕上がります。
その為革素材、デザインにより漉く「箇所」、「厚み」、「幅」を変えて行っているのです。
漉く「厚み」は箇所により分けてます。
例えば1.1㎜に薄くすると3㎜の革に対して1.9㎜漉きます。
通常は漉く箇所、漉かない箇所の「差」が1㎜以下ですが、ブルハイドの場合は1.9mm。
「差」がかなりあるので、漉く箇所の断面が急にならないよう、斜めに漉きます。
そうすることで、革が厚い箇所から薄くしたい箇所にかけてなだらかに仕上がるのです。
表現が難しいですが、厚みの「差」が少ない方がふわっとした商品に仕上がります。
漉き作業を終え、やっと縫製です。
覚悟はしていたけど、やはり「3㎜」は手ごわいです。
ミシン調整をしっかり行い、ブルハイドの持つ他の素材で考えれないような「シボ」の段差に気をつけ
丁寧に1針づつ針を落として行きます。
縫うのも大変ですが、さらに難所が。。。
縫った後「どんでん」と言って、簡単に言えば裏に向いてるのを表にひっくり返す作業ですが、これがかなり大変です。
ひっくり返すだけでも1着20分以上かかるのではないでしょうか?
女性スタッフはお手上げです。
そうして仕上がった1着。
自分の仕事はもちろん、次の職人が仕事しやすいよう考え行動する。
各職人の技術の融合。
エコホースである程度厚い革に慣れた方でも、なかなか着るのも大変だと思います。
作り手だけでなく、お客様も全力勝負。
まさに25周年に相応しい商品だと思います。
もちろん来年以降にブルハイドの革ジャンのラインナップはございません。
30周年でつくるかもまだ未定です。
革の仕込み、生産に限りがあり新規のオーダー受付は中止致しました。
ディーラ様ではオーダー分を確保している店舗もあるかと思います。
気になる方は一度ディーラ様へお問い合わせください。
デリバリーは10月末ごろ。
完成まで今しばらくお待ちください。