2025.07.25

ワイツーレザーの革ジャンはいつ手に入れるべき!?を モノづくりのしくみから知る

「お店に行ったらもう自分のサイズが売り切れていた! 」、「現物すら見れずに予約だけで完売!? 」「今回の新作こそは、絶対に手に入れたい!! 」……。一歩外に出るだけで汗が噴き出る猛暑が続いていますが、こんな季節に革ジャンの話って……と思われるでしょう。ところがワイツーレザーには日々、このようなご質問が寄せられてきます。もちろん僕らはレザー専業ブランドですから当然ではありますが、今回は革ジャンを新調しようと考えている方々に、ワイツーレザーをより深く理解していただけるようモノづくりの裏側をお伝えし、上記のご質問にお答えしようと思います。ではエアコンの温度を下げて涼しくしてお読みください!


縫製現場


まずご理解いただきたいのは、革ジャンづくりは一朝一夕にできるものではない、ということです。なにしろメインマテリアルは天然素材。肉厚でキズが少なく、大判というワイツークオリティを満たす原皮を調達することから、天候や原皮の状態を見極めながら鞣すタナリーでの作業や、一枚ごとの個体差に応じて手断ちした革を2~3名の班で一着ずつ丁寧に縫い上げる工程……。この妥協せずに良い製品を送り出したいという職人気質は時に、デリバリーに遅れを生じさせてしまうこともあります。もちろん製造業としては本来あってはならないこと。納期とはすなわち約束事ですから、楽しみに待ってくれている皆さんの期待を背負って、いただいたオーダーは遅くても年内にはデリバリーできるよう、常に緊張感をもって革と向き合っています。


定番モデルの在庫が充実しているのは、残暑厳しい9月頃!!


店内


ではさっそく本題といきましょう。ワイツーレザーは毎年、1月中旬から2月中旬に本拠地である大阪を皮切りに東京、福岡、そして今年からはドイツ、の4都市でショップバイヤーを対象とする展示会を開催しています。定番モデルに加えてその年の新作モデルを発表して各店舗のバイヤーからの発注を募る、受注生産を基本としています。


3月までにはオーダーを締め切り、生産着数を決定するのですが、革の発注は実はこれよりずっと前に始まっているんです。染料ベースの素材ですと染まり方がイメージと異なる時もあり、仕上がり状態によっては手直しが必要になることもあるからです。そのため柿渋ホースやインディゴホースなど、仕上げが難しい素材はオーダー数が確定する以前から、リスクを張って発注をかける必要があるのです。


その他にも、定番商品で使用する素材は同じように年が明ける以前から発注をかけているので、年が明けた1月から春夏のオーダー商品と並行して、秋冬の定番商品の生産も行っていきます。


革の写真


こうすることで一般的には生産の閑散期を迎える時期であってもワイツーの現場はフル稼働し、年間を通しての生産を実現しているんです。こうして早いものだと2月後半には完成しているアイテムもあり、秋冬に向けて順番に生産を行っていきます。ディーラーに向けてはお盆明けから完成している商品のデリバリーが始まるため、実は本格的な革ジャンのシーズンに入るより前の9月頃が、一番在庫が充実していると言えます。


新作モデルのデリバリーは、秋口からが本番を迎える!!


店内


ワイツーレザーのプロダクトは、ヴィンテージピースをベースにパターン(型紙)をおこしてサンプルモデルをつくることから始まりますが、新作でファーストサンプルで生産が一発で決定することもまあ少ないんですよ。仕上がったその雰囲気や着た際のイメージ、サイズ感などのディテールをチェックしては、ポケットのサイズが違うな~とか、縫い付け位置もちょっと下げた方がいいね、などと言っては修正したセカンドサンプルをつくり、それでも納得できなかったらサードサンプルをつくることもしばしば。その後にサイズグレーディング(サンプルの採寸データを基に、各サイズの採寸を決める)して本生産が始まります。ここまで順調に進むモデルもありますが、モデルによっては9月頃まで試行錯誤を繰り返す場合もあり、新作商品については9月以降の納品になることもあります。


パーフェクトな相棒となる一着に出会うための近道は……


革ジャンの写真


いかがでしたでしょうか?9月頃だと気温もまだまだ暑く革ジャンはまだ必要ない!と感じられる方も多くいらっしゃると思いますが、これまでにお伝えしているとおり年間の生産数は3月には既に決まっており、追加生産はもちろん難しく、さらにはハイシーズンともなると既に在庫がないということもしばしばあります。原皮の状態によっても革の入荷時期は異なり、その都度タンナーとも協議しながら革の納品時期も決まっており、追加で注文したとてすぐに入荷するということはありません。もちろん、革はナマモノなので今年の一着と来年の一着では一つとして同じ仕上がりのものはありません。つまり“唯一無二”。シーズン前の暑い時期でも、もし気に入った一着が見つかったらその時にご購入いただくことをお薦めします。その時の出会いを大切にしていただき、相棒となる一着を手にしていただければと僕らは考えています。


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